補助金を申請しようとしたとき、多くの中小企業・個人事業主が最初に思い浮かべるのは、「中小企業診断士」や「補助金コンサル」への相談ではないでしょうか。
実際、これまでの補助金申請支援の現場では、民間コンサルティング会社や中小企業診断士が大きな役割を担ってきました。補助金の種類によっては、「コンサルティング料」「サポート費」などの名目で、書類作成を含む実質的な申請支援を有償で提供する業者が多数存在していたのが実情です。
しかし、2025年6月に成立した「行政書士法の一部を改正する法律」により、この状況が大きく変わろうとしています。
行政書士法改正の概要―何が変わったのか―
施行時期と背景
改正法は2025年6月6日に参議院本会議で可決・成立し、2026年1月1日に施行されました。
今回の改正の背景には、次のような課題がありました。
- コロナ禍以降の補助金制度拡充により、申請支援ビジネスへの参入が急増した
- 「コンサルティング料」「手数料」などの名目で、行政書士資格を持たない支援者が書類作成に関与するケースが広がった
- 一部では不適切な申請やトラブルも生じ、申請者保護・行政手続きの適正化が求められるようになった
- 支援者の法的な位置づけをより明確にする必要性が高まった
こうした状況を受け、従来からの規制の「抜け穴」を塞ぐ形で、今回の法改正が行われました。
「いかなる名目によるかを問わず」の追加
今回の改正で最も重要なのが、行政書士法第19条の改正です。
改正後の条文では、
という規定が明確化されました(ただし、他法令に別段の定めがある場合や、総務省令で定められた簡易手続を除く)。
ポイントは、「いかなる名目によるかを問わず」という文言が追加されたことです。これにより、「コンサルティング料」「成果報酬」「サポート費」など、名称を変えて報酬を受け取っていたとしても、実態として補助金申請書類を作成していれば、行政書士法上の規制対象となることが、法律の条文として明確化されました。
「名目を変えれば問題ない」が通用しなくなった
この「いかなる名目によるかを問わず」という文言の追加は、実務上、非常に大きな意味を持ちます。
これまでの行政書士法でも、官公署に提出する書類を報酬を得て作成することは行政書士の独占業務とされていました。また、総務省は2022年2月のグレーゾーン解消制度への照会回答においても、補助金申請書類の有償作成は行政書士の独占業務であるとの見解を示していました。
しかし現実には、「コンサルティング料」「サポート費」「成果報酬」など名目をずらすことで、行政書士資格を持たない支援者が書類作成に深く関与するケースが広く行われていました。
今回の改正で追加された「いかなる名目によるかを問わず」という文言は、まさにこの「名目のすり替え」による曖昧さを明確に整理するものです。報酬の名称や形式がどうであれ、実態として補助金申請書類を作成する行為については行政書士が担う——この原則が、条文の上でもはっきりと示されました。
これまでの補助金支援市場
多様なプレイヤーが関与
これまでの補助金申請支援には、さまざまな専門家・事業者が関わってきました。
- 中小企業診断士:経営コンサルティングの専門家として、事業計画書の内容面での支援を担ってきた
- 民間コンサルティング会社:「補助金専門コンサル」として書類作成から申請まで一括支援するサービスを提供
- 税理士・社会保険労務士:顧問先への付帯サービスとして補助金申請サポートを提供するケースも
- 商工会・商工会議所:無償でのアドバイス・伴走支援を実施
このような多様な支援環境の中で、行政書士の存在感は相対的に低かったのが実態です。
なぜ「グレーゾーン」が生まれていたのか
補助金申請の提出先は、経済産業省などの省庁から委託を受けた「事務局」(民間の運営主体)であることが多く、「事務局は官公署ではないため、書類作成代行は行政書士の独占業務にあたらない」という解釈を根拠に、行政書士以外の支援者が書類作成に関与するケースが広がっていました。
しかし、省庁から委託を受けた事務局が運営する制度であっても、国の公的な事業である以上、書類の作成代行は行政書士法の規制対象となります。今回の法改正は、こうした解釈の曖昧さを整理し、ルールの輪郭をより明確にするものでもあります。
法改正後、補助金申請をどう考えるか
「コンサルティング」と「書類作成」は別物
法改正後も、行政書士以外の専門家がすべての補助金支援を行えなくなるわけではありません。
引き続き行政書士以外でも行えるもの:
- 事業計画の内容についての経営助言・アドバイス
- 制度の説明や申請要件の案内(相談業務)
- 申請者本人が作成した書類への一般的なフィードバック
一方、報酬を得て申請書類そのものを作成・提出する行為は、行政書士でなければ行えません。
つまり、「補助金サポート」という言葉でひとくくりにされていても、その中に「書類作成の実質的な代行」が含まれている場合は、行政書士に依頼する必要があります。
依頼先の「法的な位置づけ」を確認することが大切
今回の法改正により、補助金申請書類の作成を担う支援者の役割分担が明確になりました。依頼する側の事業者にとっても、支援者が行政書士として正式に業務を行っているかどうかを確認することが、これまで以上に重要になります。
万が一、申請後の審査過程で書類作成の位置づけが問題となった場合、採択に影響が及ぶリスクがないとも言い切れません。
安心して補助金申請を進めるためにも、書類作成を依頼する際には、法的な根拠を持って業務を行う行政書士への依頼が確実といえます。
「書類作成」だけでは不十分—行政書士選びで大切なこと
法改正により、補助金申請書類の作成については行政書士の役割が明確になりました。しかし、ここで一点、重要なことをお伝えしたいと思います。行政書士なら誰でもよい、というわけではありません。
補助金審査では、書類の体裁よりも、事業内容の妥当性・計画の実現可能性が重視されます。
たとえばものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金では、
- なぜその投資が必要なのか
- どのように売上向上につながるのか
- 資金繰りや返済計画に整合性があるか
- 市場環境や競合との差別化は明確か
といった経営的な視点からの説明が求められます。
これは単なる「書類の整え方」の問題ではなく、事業計画そのものを理解し、経営視点で整理・言語化する力が必要な作業です。
補助金に強い行政書士を選ぶ際には、以下のような点を確認することをおすすめします。
- 補助金申請の支援実績があるか(件数・採択率)
- 申請する補助金の制度を熟知しているか
- 事業計画の内容についても一緒に整理してくれるか
- 創業融資や許認可など、関連手続きとの連携ができるか
まとめ—補助金申請の「主役」が変わる時代へ
2026年1月施行の行政書士法改正により、「いかなる名目によるかを問わず」という文言が条文に明記されました。これにより、名目をどう変えても、報酬を得て補助金申請書類を作成できるのは行政書士だけであることが、法律の上でも疑いの余地なく確定しています。これまで民間コンサルや中小企業診断士が担ってきた書類作成の領域は、今後、行政書士が法的な責任主体として正式に位置づけられていきます。
ただし、補助金申請において本当に重要なのは「誰が書類を作るか」だけではありません。制度への理解と、事業内容を行政に伝えられる経営的な視点——この両方を兼ね備えた専門家を選ぶことが、採択への近道です。
補助金の活用を検討している中小企業・個人事業主の方は、ぜひ早めに専門家へ相談することをおすすめします。
✅無料相談受付中!
当事務所では、融資や補助金申請に関する無料相談を提供しています。専門家によるアドバイスを受けることで、融資の成功確率を高めることができます。オンライン相談は、初回のみ30分でご提供させていただきます。
現在考えている事業計画のブラッシュアップや資金調達の最適な方法を一緒に検討することができます。
「中小企業・個人事業者向け Zoom無料相談」はコチラ
神奈川県・横浜市・横浜市青葉区の事業者の方へ
~経営に関するお悩み事があればお気軽にご相談ください~
1,000社以上の支援経験のある代表が御社に最適なサポートをご提供いたします。
